入院中に出会った人たちの強烈エピソード その②

前回に続いて、長期入院していた時に目の当たりにした個性豊かな入院患者さん達の強烈なエピソードを書いてみようと思います。今回は前回書きましたTさんの隣のベッドに入院していたAさんの話です。

AさんもTさんと同じく脳梗塞で入院していました。

考えてみれば脳梗塞以外で入院していたのは私ぐらいで、他の皆さんはある程度は高齢で脳梗塞の人ばかりでしたね。リハビリ病院はそんなかんじなのでしょう。40代半ばだった私はやたらと若手扱いされました。まぁ若い若いと言われて悪い気はしませんでしたけどね。

 

話戻ってAさんについてですが、ひとことで言うとクレーマー体質の人でした。


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とにかく自分に不都合なことや気に入らないことが起こると医師や看護師さんに自分の考えを訴えるのですが、わりとその主張が自分勝手だったりするので受け入れてもらえることも少なく、看護師さんと口論になることもしょっちゅうでした。

毎日の血圧測定では、ちょっと数値が正常範囲よりも高いと、『歩いてきたばかりやからかな?』とか言って正常範囲の値が出るまで何度も計り直しを求めるので、しまいには看護師さんも『起き上がったばっかりやからね~。』とか言って計り直していました。

起き上がったばっかりって、、みんなそうですけど?と心の中で突っ込みながらやり取りを聞いていました。

 

だいたいの看護師さんは、Aさんの言うことにハイハイといった感じで上手く受け流すのですが、中には若い頑固な看護師さんなんかもいてケンカになっていました。主に口論の原因となるのがAさんの体調や飲んでいる薬のことでしたので、聞こえてくる内容は専門的な知識もある看護師さんの言っていることの方が正しいように思えました。

 

で、ひとしきりの口論が終わっても気持ちが冷めやらないAさんは、決まってある一人のベテラン看護師さんを呼びつけては事の顛末を説明して同意を求めます。

ベテラン看護師さんも責任あるポジションの人でしたので本来はそんなことにかまっていられないところなのでしょうけども、ウンウンと頷きながら話を聞いてあげてました。

そんなやり取りが2~3日に一度くらいのペースで起こるので、看護師さんの仕事って本当に大変だなと思いました。このコロナ渦では尚更でしょうね。

 

Aさんが揉め事を起こすのは病院のスタッフに対してだけではなくて、他の入院患者の家族とも言い争いになっていました。

廊下で誰かと言い争いになってヒートアップしてしまい、大声をあげていたAさんにたまりかねた他の入院患者の家族がキレてしまったのです。まぁ、言い争いになっていた時間も結構長くなっていましたので無理もないかなぁという感じでした。

 

身勝手で頭に血がのぼりやすい性格のAさんでしたが、普段は気のいいおっちゃんで、自慢の息子さんの話をよくしてくれました。

勉強が出来て有名私立高校に通っていて、確かその時に開催されていた春の選抜高校野球にも出場していた学校だったと記憶しています。Aさんの息子さんは野球部ではなかったですけどね。

 

そんなAさんでしたが、私が入院している間に担当医と揉めてしまい、元々いた病院に転院するとのことで出ていってしまいました。

何やら飲んでいる薬が合う合わないといった事と、Aさんの求める診断書が出せる出せないで揉めていたのが原因でした。

労災認定が取りたいAさんの要求に対して、因果関係が証明出来ないと主張する担当医で折り合いがつかなかったようです。

4人部屋にいるとこのあたりの会話も全部丸聞こえでプライバシーも何もあったもんじゃないという気がしますが、本人が全く気にしていない様子でしたのでそれはそれで問題ないんでしょうね。人に聞かれたくなければ場所を変えて話することも出来たわけなので。

 

Aさんが転院してからは言い争いが全くと言っていいほどなくなり静かにはなりました。でもうるさい人がいなくなるというのはやっぱりちょっと寂しく感じましたね。

怒りすぎて血圧が上がってなければいいのですが、、