北の大地からやってきた大型新人。の話。

私が以前に在籍していたブラック企業で出会ったインパクト人財「山ちゃん(仮名)」のエピソードを書いてみようと思います。結構強烈なキャラクターでしたので20年近く経った今でも強く印象に残っています。

 

山ちゃんの出身は北海道で、それも札幌とかの都市圏ではなくかなりの郊外、いわゆるド田舎からやって来ました。

本人曰く『家の前を流れる川で鮭が獲れましたよ。』との発言からどんな場所かが想像出来ます。にわかには信じがたい話でしたが、続けて『本当は獲ったらダメなんですけど、みんなちょっとくらい獲ってましたね。』という真顔での発言に皆納得させられていました。虚言癖などなかった山ちゃんでしたので、おそらく本当の話だったのでしょう。

 

そんな山ちゃんについてもう少し詳しく言いますと、当時の年齢は20代前半で確か大学は出ていなくて、前に何をしていたかは覚えてないです。確か地元でフリーター(そんな田舎で成立するのか?)とかをやっていたと聞いたような気がします。で、身長は180センチ位でスラッとしていて、顔はさっぱり目でキレイなイケメン。パッと見は本当にモデルか何かやっていそうな女性ウケするタイプでした。

ただ、頭はそんなに賢い方ではなく、というか極端な世間知らずで、いきなり大阪に出てきた初日に見知らぬおっさんから中古の家電製品一式を(内容を聞いた限り)高額で買わされた上に、『メッチャ親切でいい人でした。』といい放ったのを皆で唖然としながら聞きました。

ファーストインプレッションは『やべー奴が来た。』にほかなりませんでした。

 

山ちゃんの性格は真っ直ぐ純朴で、仕事もとにかく一生懸命だったので、お客さんからも同僚からもとても可愛がられていました。

でも一つだけ難点があって、それは「無類の女好き」だったことです。放っておいても女性が寄ってきそうなルックスでしたので、黙って待ってりゃいいのにと思うのですが、山ちゃんはそうはいかないのです。

もう自分から仕掛ける仕掛ける、、自宅の最寄り駅のちょっと人通りの多いところでナンパしまくるのですが、その方法が独特で『○○って、どこですか?』と、絶対に自分しか知らない会社の名前を聞いて女性に声を掛けるのです。

当然、声を掛けられた女性は『はぁ?』となるそうですが、足を止めさせればもうそれだけでオッケーなのです。何せイケメンなので。

これの反復だけで飲みに行く程度であればそれなりの成功率を誇ったようです。何だかんだいっても「イケメン強し」なのです。

 

でも、なかなか自分の部屋まで連れて帰れる率は思ったほど高くはなくて、思案した山ちゃんは犬を部屋で飼い始めるという暴挙に出ます。もちろん、ナンパした女性に犬の写真を見せて『部屋に見においでよ。』の決めゼリフを言い放つためです。多分ペットOKの部屋ではないにも関わらず、しかもローンを組んでシーズーみたいな子犬を飼い始めたのです。

で、これは目論み通り効果絶大だったそうです。

 

その話を聞いた当時の職場のボスの『その犬を連れて来い!』という無茶振りに山ちゃんは真面目に応えて職場に犬を連れて来ました。(今思えば何ていう職場なんでしょう。)仕事を止めて皆でその小刻みに震えている(ように見えた)子犬と戯れる中、誰かが山ちゃんに『エサあげてみようや。何食べるん?』と聞いたのですが、山ちゃんは『こいつ、好き嫌いがすごく激しくてヨーグルトしか食べないんすよ。』と言いました。一同、ヨーグルトしか食べない犬?と疑いながら、コンビニで買った缶入りのドッグフードを与えてみました。

すると、、狂ったようにがっつく犬、、

それを見た皆で大爆笑。

ドッグフードにがっつく犬を呆然と見つめる山ちゃんの顔は今でも忘れられません。

どうやらお金の無い山ちゃんはエサ代を抑えるために安いヨーグルトしか与えていないようでした。死ぬよ。。マジで。。

 

そんな山ちゃんも何年かして退職してしまいました。退職理由は覚えていませんが、もしかしたら起業とかして大成功しているかもしれません。行動力は半端なかったので全然可能性はあると思います。でも飼っていた犬は可愛そうな末路を歩んだかもしれません、、

 

アダルトサイトの架空請求(100%詐欺のやつです)にビビりまくった山ちゃんが職場の皆に相談してきて、その業者の留守電を皆で聞いて大爆笑したのは今でも忘れられないいい思い出です。